
はじめに
こちらはABEJAアドベントカレンダー2025の15日目の記事です。
2025年10月、デザインプラットフォームのFigmaが、AI駆動型のメディア生成企業Weavyを買収し、Figma Weaveとして統合することを発表(Figma、TechCrunch)しました。設立からわずか1年、シード資金調達額400万ドルという段階での買収額は2億ドル以上と推定(Calcali Tech)されており、この取引はクリエイティブAIの未来において極めて重要な転換点となっています。
本記事では、Weavyとは何か、他のAIツールとの違い、そして実際の使い方まで、プロフェッショナルクリエイターが知っておくべき情報を包括的に解説します。
Weavy AIとは
Weavy(weavy)は、複数のAIモデルとプロフェッショナルな編集ツールを統合した、ノードベースのクリエイティブプラットフォームです。2024年にイスラエル・テルアビブで創業され、元Fiverr社員のグループによって設立されました。創業者は、Lior Albeck(CEO)、Jonathan Alumot(CTO)、Jonathan Gur-Zeev(CPO)、Itay Schiff(チーフクリエイティブディレクター)の4名で構成されています。
Weavyの最大の特徴は、一つのキャンバス上で、GPT、Stable Diffusion 3.5、Runway Gen-4、Imagen 3、Flux Pro、Ideogramなど、世界最先端のAIモデルを自由に組み合わせて使用できることです。これにより、クリエイターは複数のプラットフォームを行き来することなく、一貫したワークフロー内でアイデアを形にできます。
プラットフォームは、生成AIの出力を最終目的地ではなく、創造的な出発点として位置づけ、人間の創造性とAI生成を組み合わせることで、より表現力豊かで独自性の高い作品を生み出すことを目指しています。
Weavyが他のAIツールとどう違うのか
Weavyがなかった時代の課題
従来のAI画像・動画生成ツールは、主に「プロンプト入力→出力」という単純な構造でした。この方式には以下のような制限がありました:
- ワンショット生成の限界:一度のプロンプトで望む結果を得られないことが多く、クオリティコントロールが困難
- ツールの分断:画像生成はMidjourney、動画生成はRunway、編集はPhotoshopと、複数のツールを使い分ける必要がある
- 再現性の欠如:同じプロンプトでも結果が異なり、一貫したブランディングやスタイルの維持が困難
- スケーラビリティの問題:チームでワークフローを共有したり、プロセスを標準化したりすることが難しい
- プロフェッショナル編集機能の不足:AIツールの多くは基本的な編集機能しか持たず、最終的な仕上げには別のツールが必要
Weavyがあることでできること
Weavyは、これらの課題を「ノードベースワークフロー」という革新的なアプローチで解決します:
1. マルチモデル統合による最適な選択 Weavyでは、タスクに応じて最適なモデルを選択できます。例えば、シネマティックな動画にはSeedanceやSora、Veo、リアリズムにはFluxやIdeogram、精密な制御にはNano-BananaやSeedreamを使用するといった具合です。これにより、各AIモデルの強みを最大限に活用できます。
2. プロフェッショナル編集ツールの統合 Weavyには、レイヤー合成、マスキング、照明調整、カラーグレーディング、アップスケーリングなど、プロフェッショナルな編集機能が組み込まれています。これにより、AI生成からポストプロダクションまでを一つのプラットフォームで完結できます。
3. 再現可能なワークフローの構築 ノードを使ったワークフローでは、一度生成した画像や動画を起点に、複数のバリエーションを作成したり、修正を重ねて出力の品質を高めることができます。これにより、AIによる自由な発想と、人の手による細かな調整を両立できます。一度構築したワークフローは保存・共有でき、チーム全体で一貫した品質を維持できます。
4. App Modeによる簡易UI生成 複雑なワークフローを構築した後、Weavyは自動的に簡潔なユーザーインターフェース(App Mode)を生成します。これにより、技術的な知識が少ないチームメンバーでも、確立されたワークフローを、入力値を変えるだけで簡単に使用できます。
5. ブラウザベースでアクセス可能 特別なハードウェアやローカルインストールは不要です。ブラウザさえあれば、どこからでもアクセスでき、即座に作業を開始できます。
基本的なワークフローの作成方法
ステップ1:アカウント作成とワークスペースの起動
- weavy.aiにアクセス
- 無料アカウントを作成(Free tierで基本機能を試用可能)
- ワークスペース(ノードベースキャンバス)を開く
ステップ2:ノードの理解
ノードは、特定の入力と出力を持つ機能単位です。各ノードは特定のアクションまたは変換をコンテンツに対して実行します(Weavy)。ノードの種類には以下があります:
- 入力ノード:画像や動画アップロード、テキストプロンプト、パラメータなどの初期入力
- AIモデルノード:画像生成、動画生成、テキスト生成などのAIモデル
- 編集ノード:マスク、ブラー、カラー調整、アップスケーリングなど
- 出力ノード:最終的な成果物の出力
ステップ3:基本ワークフローの構築
テキストから高解像度画像生成のシンプルなワークフロー:

- キャンバスに「Prompt」ノードを追加
- 「Image Generation」ノードを追加(写真のようなリアリズムと細部の描写に優れているため、今回はFlux 2 Proを使用しますが、もちろん他のモデルを使用しても問題ありません)
- 「Upscale」ノードを追加(生成画像の高解像度化のために使用します)
- ノードの接続:
- Text InputノードをImage Generationノードに接続
- Image GenerationノードをUpscaleノードに接続
- プロンプトを入力(例:夕暮れのサイバーパンク都市、超高精細でリアルに)
- 実行ボタンをクリックして高解像度画像を生成
高度なワークフロー例:

- キャンバスに「Prompt」ノードを追加
- 「Prompt Enhancer」で入力プロンプトを改善
- 生成されたプロンプトを複数の画像生成モデル(Flux、Nano Banana Pro等)に並列入力 今回は、Flux 2 ProとNano Banana Proを使用
- 各モデルの出力を比較し、最適なものを選択
- 選択した画像にUpscaleノードで解像度を向上
- Levelsノードで色調を調整
- 最終的な画像をVideo Generationノード(Runway Gen-4)に入力
- 「Topaz Video Upscaler」で動画の解像度を向上
ステップ4:ワークフローの保存と共有
完成したワークフローは保存でき、チームメンバーと共有できます。App Modeに切り替えることで、ノード構造を隠し、簡易的なUIでワークフローを実行可能にできます。
ユースケース別ワークフロー例
1. ブランドデザイン
使用シーン:ロゴ、カラーパレット、ビジュアルスタイルの探索
ブランドコンセプトから複数のロゴバリエーションを生成し、カラーパレットを抽出。選択したデザインを名刺、ウェブサイト、パッケージなどのモックアップに自動適用することで、一貫性のあるブランドアイデンティティを効率的に開発できます。
2. 3Dモデルレンダリング
使用シーン:ECサイトやプレゼン用の製品画像を迅速に作成
製品の3Dモデルや写真を入力し、複数の背景シーン(リビング、オフィス、屋外など)を生成。製品を各シーンに自然に配置し、色調を統一することで、複数のバリエーションを一括出力できます。
3. モデル生成(プロダクト試着)
使用シーン:アパレルECサイト用のモデル画像を様々な角度で生成
AIで生成したモデルに服やアクセサリーを試着させ、正面、側面、背面など多角的なビューを作成。一貫した外見を保ちながら、物理的な撮影なしで充実した商品ページを構築できます。
Weavyでは、上記以外にも様々なワークフローを作成可能です。ソーシャルメディア向けの動画コンテンツ生成、ゲームのコンセプトアート制作、建築ビジュアライゼーションなど、クリエイティブ業務の幅広いシーンで活用できます。複数のAIモデルと編集ツールを自由に組み合わせることで、あなたのアイデアに最適なワークフローを構築できます。
終わりに
Weavyの最大の価値は、ワークフローの再現性とツールの統合にあります。従来は画像生成、動画生成、編集とツールを使い分ける必要があり、プロンプトのたびに結果が変わるため品質の安定化が困難でした。 Weavyなら、複数のAIモデルと編集ツールを統合したワークフローを一度構築すれば、誰が実行しても一定の品質を保てます。
さらに、ノードベースの直感的なインターフェースにより、エンジニアでなくてもワークフローを構築できる点も魅力です。App Modeを活用すれば、構築したワークフローを簡易UIで共有でき、AI活用のリテラシーやハードルを下げることができます。これにより、組織全体でのAI活用を推進し、チーム全体でよりスピーディに高品質なコンテンツ制作が可能になるでしょう。
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