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NotebookLM で技術書を読む:初期理解・深掘り・理解確認のフェーズ設計

こんにちは。 株式会社ABEJAでソフトウェアエンジニアをしている近藤です。

この記事は、ABEJAアドベントカレンダー2025、16日目の記事になります。

📝 3 行まとめ

  • 『AIエンジニアリング』(544ページ)のような大型技術書でも、NotebookLM を使うことで読み始めの負荷が大きく下がった。
  • インフォグラム・スライド・レポート・チャットを中心に、テストやフラッシュカードも含めて、“全体把握 → 深掘り → 理解確認” の各フェーズを効率化できた。
  • NotebookLM は本の代替ではなく、自分にとっては原典をより深く読みこなすための“学習インターフェース”として非常に有効だった。

1. はじめに:NotebookLM を技術書の理解に使ってみようと思った背景

日々の学習の中で技術書を読む場面になると、以前からいくつかの課題を感じていました。

たとえば、

  • ページ数が多い技術書ほど、全体像を掴む前に細部に入り込み、読む順番に迷ってしまう
  • 途中で分からない概念が出てくると、その都度調べる必要があり、読書の流れが途切れてしまう
  • どの章を重点的に読むべきか判断できず、時間をかけた割に理解が浅く感じる

といった点です。

そんな中、読もうとしていた技術書が 『AIエンジニアリング』 でした。

www.oreilly.co.jp

ページ数は 544 ページ。AI エンジニアリング全体像をはじめ、基盤モデル(Foundation Models)、評価(Evaluation)、プロンプトエンジニアリング、RAG(検索拡張生成)など、非常に幅広い内容が詰まっています。

正直なところ、これを 1 ページ目から順番に読み進めるには、まとまった時間と覚悟が必要そうだと感じました。

そんなことを考えている中で、NotebookLM の存在を思い出しました。

「NotebookLM を“本気で”使えば、この巨大な本を、読む前に全体像を掴み、迷わず理解を深められるのでは?」

と。

NotebookLM は普段から使ってはいましたが、どちらかというと軽い用途でした。 論文を放り込んで要点をまとめてもらったり、Web ページを短く整理してもらったり、音声でざっと概念を掴む程度です。

いつの間にか、NotebookLM の機能も増え、試すことができていない機能もあったため、このタイミングでそれらの機能を試しつつ、 技術書の読書支援としてどこまで使えるのか を検証してみることにしました。


2. 初期理解フェーズ:NotebookLM が技術書の“読み始め”を支える

まず NotebookLM が強いと感じたのは、 「読む前のつまずき」を大きく減らしてくれる という点です。 500ページ級の技術書で最初に大変なのは、「どこから読めばいいのか」「全体の流れが把握しづらい」ことです。 NotebookLM を使うと、自分の場合はこの“初速の壁”を越えやすくなりました。

インフォグラム:全体像を一瞬で把握できる

視覚的に構造を捉えたい人(いわゆる視覚型)に特に向いていると感じました。 本の構造を図として整理してくれるため、章同士がどう関連し、何を扱う本なのかが短時間で理解できます。

スライド資料:章構造を整理する“地図”になる

インフォグラムほど抽象的ではなく、ポイントを箇条書きで追いたい人に向いた形式です。 本の章内容を簡潔にまとめつつ重要ポイントを抜き出してくれるため、どこから学ぶべきか、何が重要なのかが自然と見えてきます。

レポート(概要):文章で骨格を掴む

文章を読んで理解を積み上げたいタイプの人に向いていると感じました。 軽めに概要だけ把握したいときに便利で、デフォルトで用意されている「概要説明資料」形式でレポートを生成し、全体像を掴む使い方が適していると感じました。文章として流れを追えるため、初期段階での理解がスムーズになります。

インフォグラム・スライド資料・レポートといった初期理解向けの機能を事前に使っておくことで、 「何を読めばよいか」が明確になった状態で読書が始められる ようになりました。 これは、読み始めの迷いを減らしてくれる大きなメリットだと感じています。


NotebookLM 機能 × フェーズ別評価マトリクス

以下は NotebookLM に搭載されている主な機能を、初期理解 / 深掘り / 理解確認 の3フェーズで整理したマトリクスです。 デフォルト活用とカスタマイズ活用の双方を踏まえ、直感的に把握できるように整理しています。

  • ◎:非常に有効
  • ◯:有効
  • △:用途によっては有効
  • -:あまり使わない
NotebookLM 機能 初期理解 深掘り 理解確認
インフォグラム
マインドマップ
スライド資料(デフォルト)
レポート(概要 / 用語解説)
スライド資料(カスタマイズ)
チャット(通常)
チャット(学習ガイド)
テスト
フラッシュカード
音声解説
動画解説

このマトリクスは、上から順に見ていくことで、技術書を読む際にどの機能をどのタイミングで使うと効果的かを俯瞰できるように並べています。 このマトリクスを見ると、NotebookLM はとくに 初期理解と深掘り段階で強みを発揮する ことがわかります。 一方で、理解確認フェーズについても、テストやフラッシュカードは使い方次第で実用的であり、役割を限定すれば十分に活用できる位置づけだと感じました。 特にスライド資料(デフォルト+カスタマイズ)とチャット機能は読書体験の中心を担い、テストやフラッシュカードはその理解を確かめるための補助として機能する、という関係性が見えてきます。

補足:音声解説の位置づけについて

音声解説は、初期理解・深掘り・理解確認といった、いずれかのフェーズを"達成"するための機能ではありません。むしろ、フェーズとフェーズを"つなぐ"ための機能だと感じました。

たとえば、

  • 初期理解の前に「どこから学び始めるか」を決める
  • 深掘りの前に「何を掘るか」のヒントを得る
  • 理解が曖昧だと感じたときに「どこに戻るべきか」を見つける

といったように、学習の方向づけを行う役割を担っています。

これは「初期理解 / 深掘り / 理解確認」という縦割りの評価軸では構造的に表現しづらい価値ですが、実際の読書体験では非常に重要な役割だと感じました。


3. フェーズ別に見る NotebookLM の使いどころ

NotebookLM を実際に機能を切り替えながら読書に使ってみて強く感じたのは、 各機能には得意なタイミング(フェーズ)がある という点です。

ここでは、 ① 初期理解 → ② 深掘り → ③ 理解確認 の3フェーズに分けて整理します。

3-1. 初期理解フェーズで役立った機能

インフォグラム

最初に見るべきコンテンツ。 本全体の構造、主要な章の関係性が一瞬で掴めます。

スライド資料

最初に本文を読み始める前に、どこから手を付けるかを決めるための材料として役立ちました。 章構造と要点が整理されることで、「この章は後回しで良さそう」「ここは先に押さえておきたい」といった判断がしやすくなります。

レポート(概要 / 用語解説)

文章で落ち着いて全体の骨格を理解するのに向いています。 必要な概念を短時間で整理できます。


3-2. 深掘りフェーズで役立った機能

チャット(通常モード)

不明点をピンポイントで聞ける安心感があります。 NotebookLM は回答に引用が付くため、どの本文を参照しているかが分かる のが強みです。

チャット(学習ガイドモード)

通常モードとは違い、回答後に 「次に何を学ぶと良いか」 を提案してくれます。 学習が途切れず、理解を深めるルートが自然と見えてきます。

スライド資料(カスタマイズ活用)

NotebookLM のスライド機能は、デフォルトでは文章全体を整理したスライドを生成するため、本全体の概要を俯瞰する用途に向いています。一方で、カスタムプロンプトを入力することで、章ごとに1スライドで整理したり、特定のキーワードや概念にフォーカスしたスライドを生成するといった使い方が可能です。

たとえば、

  • 「RAG の仕組みだけを整理したスライドを作ってほしい」
  • 「評価手法(Evaluation)に特化した要点スライドを作成して」
  • 「基盤モデル(Foundation Models)の概要をまとめて」

といった指定ができます。

全体を俯瞰する使い方と、特定テーマに絞って整理する使い方を切り替えられる点が、この機能の大きな特徴だと感じました。

並列チャット(使い方の工夫)

NotebookLM のチャット機能は、内容によっては応答に時間がかかることがあります。 そのため、自分の場合は複数の質問を並列に投げておき、返ってきたものから順に確認するという使い方をしていました。

これは独立した機能というより、チャット機能を快適に使うための運用上の工夫です。 調査待ちの時間を減らし、読書のテンポを保つうえで有効でした。


3-3. 理解確認フェーズで役立った機能と課題

テスト

問題数やプロンプトの与え方によって挙動が変わる点はありますが、キーワードを明示し、問題数を現実的な範囲に収めることで、理解確認用途として十分に使えると感じました。

実際に、特定のキーワードを指定して 30 問程度のテストを作成すると、内容にフォーカスした問題が生成されます。一方で、100 問以上を指定すると生成数が制限される場合があり、内部的な上限がありそうだと感じました。

フラッシュカード

フラッシュカードも、キーワード指定や件数指定が機能します。80〜100 件程度の生成が可能で、自分の言葉で説明できるかを確認する用途に向いています。

テストが選択肢形式で広く理解度を確認するのに対し、フラッシュカードは思考を巡らせながら理解を確かめたい場合に適しており、用途に応じた使い分けがしやすいと感じました。

音声解説

音声解説は、理解を深めるというよりも、次にどこを学ぶかを決めるための補助として有効でした。

インフォグラムやスライドで全体像を掴んだあとに聞くことで、「この章をもう少し追ってみよう」といった判断のきっかけになります。一方で、復習や詳細理解の用途には向かず、学習ルートを見つけるための導線として使うのが適切だと感じました。

動画解説

動画解説については、現時点では情報の粒度や整理度の点で、インフォグラムやスライド資料ほどの有効性は感じられませんでした。概要をざっと把握する用途では使える場面もありますが、読書体験を大きく変えるほどではなく、補助的な位置づけに留まる印象です。


4. NotebookLM が技術書の読書体験にもたらした変化

NotebookLM を使いながら読書を進めると、 従来の読み方と比べ、明らかにストレスが減りました。

読み始めが圧倒的に楽になる

全体像が掴めているため、迷いなくページを開けます。

分からない箇所で止まらなくなる

チャットで即座に質問できるため、詰まりがなくなります。

キーワードベースで柔軟に学べる

興味のある部分だけ深掘りする読み方ができ、モチベーションが維持しやすいです。


5. NotebookLM は本の代替ではなく“助走装置”である

NotebookLM は本の代わりになるツールではありません。 特に技術書には、文脈・構成・定義の精密さなど“原典にしかない価値”があります。

NotebookLM の役割を一言で表すなら、今回の体験では「読み始める前に助走をつけてくれる装置」だと感じました。

分厚い技術書を読むとき、いきなり本文に飛び込むのは、準備運動なしで全力疾走を始めるようなものです。最初の数十ページで疲れてしまったり、方向を見失ったりすることも少なくありません。

NotebookLM は、その前段階で、

  • 全体像を把握し
  • 重要そうな章や概念に当たりをつけ
  • 分からなそうなポイントをあらかじめ洗い出す

といった「助走」を整えてくれます。

助走がついた状態で本文を読み始めると、どこに向かって読んでいるのかが明確になり、理解のスピードや深さが大きく変わりました。NotebookLM は、原典を置き換える存在ではなく、原典に正面から向き合うための準備を整える存在だと感じています。


まとめ

NotebookLM を活用した技術書の読書は、「初期理解 → 深掘り → 理解確認」という学習プロセスを体系的に支えるものでした。特にインフォグラムやスライド資料によって読書の助走が滑らかになり、チャット機能の活用によって理解が止まらず進む点が大きな利点でした。

理解確認フェーズについても、テストやフラッシュカードは使い方次第で十分に実用的だと感じています。キーワードを明示し、問題数を現実的な範囲に収めることで、理解度を確認する手段として機能しました。一方で、章単位・概念単位での網羅的な理解度把握については、今後の機能成熟に期待する部分もあります。

NotebookLM は本を置き換える存在ではありませんが、原典への到達を助け、理解の深さを一段引き上げる“学習インターフェース”として非常に強力です。技術書のような大型コンテンツこそ、NotebookLM が持つ多面的な機能が真価を発揮する領域だと感じました。

今後は、複数の技術書や論文をまとめて読み解くような使い方についても、NotebookLM を使って試してみたいと考えています。


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