
ABEJAでデザイナーをしている小林です!
現在、「ABEJA Insight for Retail」という小売業界向けのDXツールに関するダッシュボードのバリューアップを進めております。 来店から購入までの行動を分析するこのツールには、いくつかの課題があり、より使いやすくなるようアップデートを目指しています。
課題を一部挙げると
- 技術的な混乱を招いていたライブラリの混在(ReactとVueの併用)により、既存ページの改修が難しい。
- 画面全体でUIコンポーネントがバラバラに使用されており、統一感の欠如が見られる。
- ダッシュボード設計において、UXコンセプトが明確でないことでユーザー体験が不十分。
これらの課題を解決するにはどうすればいいのか、そもそも参考になる手引書がないかと模索している中で、 デジタル庁が提供している「Dashboard Design Guidebook」にたどり着きました。 この資料を参考にした結果や、準備の過程について少しご紹介させてください。
デジタル庁「Dashboard Design Guidebook」: ダッシュボードデザインの実践ガイドブックとチャート・コンポーネントライブラリ(ベータ版)|デジタル庁
デジタル庁発行「Dashboard Design Guidebook」の紹介

まずは「Dashboard Design Guidebook」ですが、公式では
デジタル庁は、データと根拠に基づいた政策判断・効果の可視化を日本政府内で推進を先導する役割を担っています。 その役割の一端を担い、行政や公共機関、民間企業などに従事する方が、わかりやすいダッシュボードを効率的に開発できるように、 実践ガイドブック等を提供しています。 データをわかりやすく可視化できるようにすることで、多くの関係者間で正しい共通認識を持ち、意思決定の質を向上させ、より良い行動に繋げられるようになることを目的にしています。
と書かれており、良いダッシュボードを設計するための手引きが書いてあります。 ユーザーが何を求めているかを考えながらデザインする方法や、そもそもダッシュボードとは何か、どうやって見やすく情報を整理するかなんていう、役立つポイントを押さえて説明してくれています。
さらに続けて
ダッシュボードには必ず見る人が存在し、その人が解決したい課題や、必要とする情報があります。ダッシュボードを作成する目的は、必要な情報が伝わり、意思決定や行動に繋がることにあります。 目的と制約を整理しないまま制作を進めてしまうと、「そもそも誰のための、何のためのダッシュボードだったか?」と、後になって問い直してしまうものが生まれてしまいます。 そのような事態を避けるために、全てのプロセスに先立って、まずは要件を整理しましょう。
と記載されており、特に何の為のダッシュボードなのかと本来の目的を立ち返ってしまわないように定義をしっかり決めておこうというのはその通りですね。
目的の定義を社内でワークショップ
ワークショップ形式で進めた理由としては、
- 幅広い知見と意見の収集
- 目的定義の共有と理解
上記2点の狙いがあり、様々な視点からの意見を聞くことと、認識の共有が一気にできるため ワークショップ形式で行いました。
今回はガイドラインに載っている要件定義という章の中にある 目的を定義する という項目をメインで、デジタル庁の定義をベースにした実際現場で使えるフレームワークを作成してワークショップを行いました。


最初に概要説明、項目毎に付箋に考えを記載、その内容をチーム内で討議という流れでワークシートを埋めていきました。
という項目の流れで、付箋を使ってアイデアを視覚的に共有し、各メンバーの意見を取り入れる形で進行。 チーム内でダッシュボードの目指すべき状態を明確化。 最終的には、「日常的に・気軽に触れられる仕組み」のコンセプトを具体的に落とし込み、UX改善の方向性をチームで一致させることができました。
その際に、プロダクトの共通認識を言語化した 【インセプションデッキ】を掲示・共有しながら進めました。
インセンプションデッキとは : プロジェクトの概要(目的、背景、優先順位、方向性など)を 分かりやすく伝えるための資料です。この資料は、メンバー全員が プロジェクトの開発において共通の理解と目標を持つために作成されます。 プロジェクトは意図が共有されないまま進行してしまうことも珍しくはありません。 しかし、インセプションデッキを活用することで、プロジェクトの方向性が整理され、 メンバー間での認識のズレを防ぎつつ、目標に向かってスムーズに進めることが 可能になります。
そのおかげもあってか、各項目に意見出しをする際に、プロダクト軸を基にした意見がたくさんあり、開発チームだけでなく、biz側も一緒に参加してもらったので、今後の制作方針が決まりつつ、議論もスムーズに行えて非常に良かったです。 何かプロダクトの方向性を決める際に、そもそも自分たちのプロダクトは一体どんなものであるか、それを簡潔にまとめたインセプションデッキが予め用意されていると、こういった取り組みに力を発揮してくれたと思います。
そして当たり前ですが、自分のフィルターや考えだけではカバーできない参考意見が出てきて、制作する上でコンセプトがズレることなく進められそうです。 その上で既存のダッシュボードを見直す際に、各ページのカテゴリ分類整理や、いる要らない、むしろ導線的に同じページ内に内包した方が良いなどの判断もできます。
まとめ
ダッシュボードを制作する上で、そもそも何でダッシュードである必要があって、目的は何で、ユーザーにどのような体験と情報を提供することで、課題が解消されるのか、これらはチーム内でみんな答えは持っています。
持ってはいるのですが、微妙にニュアンスや角度が違ってたり、その答えが正解かどうか迷いがある中では、資料でも述べられている、「そもそも誰のための、何のためのダッシュボードだったか?」状態になり、 生産効率もが上がらないので、改めて言語化した上でみんなの意思を統一させる必要があったと改めて痛感しました。
ダッシュボードをこれから制作する、もしくは何かしらのプロダクトを制作する際に、初めに立ち返る必要があると感じたら、ガイドラインの続きも含めて参考にしてみてください。
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