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SaaStr annual2018 l 世界のSaaSカンファレンスから vo.5  Mastering SaaS pricing

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ABEJAで人事やら、SaaSやら、全社のマーケティングを担当している長谷です。
先週、2月6日~8日にて参加者1万の世界最大規模SaaSカンファレンス ”SaaStr Annual2018" に参加してきましたので、そちらの速報レポートになります。
本投稿はMastering SaaS pricing、今回、セッションルームでの開催ではないにも関わらず、満員御礼だったこのセッション。 SaaSの価格決めはいつも頭を悩ます問題なんだなーと改めて。 個人的にはかなり重要セッションなので、Slideと共に整理しました。

slide

あわせて読みたい、SaaStr annual2018 l 世界のSaaSカンファレンスから
vo.1 Overview from 2017 to 2018~
vo.2 Organization
vo.3 Sales&Marketing
vo.4 SaaS investment
vo.5 Mastering SaaS pricing


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  • 日本でも値決めは経営と稲盛和夫さんががおっしゃってましたが、まさに同様のことをMicrosoftの元CEOも言っています。
  • 値決めにあたっては、利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか、その価格決定は無段階でいくらでもあります。
  • どれほどの利幅を取ったときに、どれだけの量が売れるのか、またどれだけの利益が出るのかということを予測するのは非常に難しいことですが、自分の製品の価値を正確に認識したうえで、量と利幅との積が極大値になる一点を求めることがとても重要ということを改めて認識しておきましょう。

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  • ちなみに、プライシングはこんなにビジネスへインパクトを与えています。
  • 高かったり、安かったり、色々な要因で失敗に繋がっているんだとは思いますが、冒頭で述べたようにプライシングを決めたタイミングでマーケットサイズと展開スピードが決まっていると言っても過言ではないということですね。改めて。

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  • プライシングには5つの失敗ケースがある
    • 1.安すぎる
    • 2.料金設定が適切ではない
    • 3.購入しづらい
    • 4.アップセルできない
    • 5.ダイナミックプライシングではない

1.安すぎる

  • 大多数の人が安く多くの人に活用して貰おうと値段を下げて提供してしまいます。
  • すると、増加する顧客のフォローに苦慮して、収益がサポートコストに見合わなくなってしまうことに。。。
  • その後に、値段を上げても地味に顧客は減らなかった = 初期の価格設定が誤っていた(可能性が高い)場合が多いです。

  • StatusPage.ioの事例 f:id:naotatsu25:20180212202515p:plain

  • 2016年Atlassianに買収された会社ですが、プライシングだけですごい成長をしています

    • 高額プランは価格が30倍
    • ARPU2.4倍
    • ただし、コンバージョン率には軽微な影響
    • 2年間で$2.5M ARR のインパクト

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  • マーケに貼るよりも4倍、プライシングがインパクトを与えています。
  • マーケティングを実施する前にまずは適正な価格で販売できているか見直しましょう。

2.料金設定が適切ではない

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  • 適切な料金設定を顧客に提示出来ておらず、機会損失を生んでいる可能性が高いです。
    • 顧客別・グループ(シート)別,従量課金別,従業員数別など
  • 正しい顧客に正しく価値提供がなされたメトリクスが競合優位性かつ、レベニューを生み出すエンジンになります。 f:id:naotatsu25:20180212202603p:plain f:id:naotatsu25:20180212202616p:plain

3.購入しづらい

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  • 急成長企業はカスタマーを迅速にオンボーディングさせている
  • Slackの購入しやすいサイト設計例! f:id:naotatsu25:20180212202657p:plain f:id:naotatsu25:20180212202710p:plain

  • ほとんどの会社が実は顧客が価値を感じた分だけお金を支払えるPAYG(=pay as you go)にはなっておらず、Subscriptionで一律にしてしまっています。

  • loginkcullはPAYG(=pay as you go )に切り替えてから、一気にGrowthしています。
  • 顧客のニーズにいかにfitした価格帯で勝負ができるかが重要なポイントになります。 f:id:naotatsu25:20180212202731p:plain

4.アップセルできない

  • 先程見た急成長企業であれば、あるほど価格が高いのですが、企業単位も、Revnue単位のチャーンレイトも急成長であればあるほど低い結果となっています。 f:id:naotatsu25:20180212202743p:plain

  • Value&Metricsは利用料に応じての課金体系にすることで、123% Net retentionが増加 f:id:naotatsu25:20180212202753p:plain

  • Trelloは機能追加でエクスパンションしています f:id:naotatsu25:20180212202803p:plain

5.ダイナミックプライシングでない

  • 一度プライシングを決定したら変更してはいけないという迷信を信じている企業が大半であるが、実際は、プライシングは会社の成長とあわせて、変わっていく f:id:naotatsu25:20180212202819p:plain

  • Salesforceの例

    • ハイエンド製品の販売価格は1999年から2017年の間に6倍に
    • エンタープライズが今や最も人気のプランに
    • 機能によるアップセルも有する f:id:naotatsu25:20180212202831p:plain

ここまでプライシング本当に重要だよという話をしてきましたが、一方でファクトベースでまだまだ関心が薄いというリサーチ結果もあるみたいです。 f:id:naotatsu25:20180212202841p:plain

じゃあ、実際誰がどうしていきましょう?という中で、役割ごとの価格に関しての整理がなされています。今の価格が適正か?If not ,価格を上げるためにどのようことができるのか?これを組織としてPDCAし続けることが大事だという結論でした。 f:id:naotatsu25:20180212202901p:plain

Summary

don't be too cheap

  • 価格が高過ぎて売れなかったから事業が上手くいかないという経営者はほとんどいない、あるとしたらプロダクトの付加価値を適切に表現できていないだけ
  • 責任者が考えることは、顧客が安すぎると感じる付加価値を提供するために何ができるかを考え抜くことが大事です。

the right value metrics help you differentiate & sell more

  • 自社にとって最も価値が出せるvalue metricsが何かを繰り返し特定していくことが大事ということ。
  • 顧客のニーズが拡大するに比例して課金が増額するValue metricsを設定することが事業成長に直結するので、粘り強く仮説検証をしましょう。

sell to customers the way they want to buy

  • 顧客の購入したい価格で購入してもらうという至って当たり前の話しです。
  • 機能ではなく価値を訴求し、ターゲットによって価格体系が明確に分かれているLPを作る、など

usage based pricing & feature packaging drives net negative churn

  • 顧客が価値を感じるために、何を継続的に付加してお得感を作るのかはvalue metricsの定義と合わせて重要な要素です。

experiment and itarate on pricing

  • pricingは決して特定の一人が考えることではなく、全ての部署が関わって反復的に素早く修正をしていくものです。
  • 全ての部署がpricingに責任を持てるように組織を作れるか、全ての部署が興味関心を持つ対象となれるかが大事です。

Appendix

Value metrics

  • Value metricsとは価値基準を示すための適切な価格設定のカギとなる指標のことです。
  • Value metricsは以下の3点によって適切に設定されているか評価することができます。
    • 顧客視点でもっとも気持ちのよい選択肢となっているか
    • 顧客が理解に時間を要するような複雑なプランではなく、理解しやすいプランになっているか
    • 顧客が自然発生的に増加しているか

Pricing Strategy

  • 基本的には以下の3点で価格設定をし、何れか最も顧客に価値を生み、自社の収益性が高い案が選択されることが多いです。
    • コストにマージンを上乗せするモデル
    • 競合他社と比較して自社が訴求したい点で優位に立つモデル
    • 顧客が支払ってもよいという価値基準で設定するモデル
  • どれか一つがよいのではなく、比較検討しながら最もよいモデルを選定する試行錯誤のプロセスが重要だよ、という話です。

いかがでしたか? vo.5 は今回のイベントで大盛況だった、Mastering SaaS pricingのセッション情報を取りまとめました。

もっと2018年度のSaaSterについて知りたいって方は以下からどうぞ。

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vo.5 Mastering SaaS pricing

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