ABEJA でスクラムマスターをしている小川です
最近、私のチームのプロダクトオーナーとプロダクトバックログの管理やチーム内外との透明性の持たせ方について話をしていました。
改めて基本的な「プロダクトバックログの役割」について考えさせられました。
「プロダクトバックログが荒れてきた...」「もっとシンプルに活用したい...」といったお悩みがありましたら、少し基本に帰ってみるとよさそうだと思いましたので、こちらの記事がそのきっかけになれば幸いです!
まずは言葉の定義から、、、
プロダクトバックログとは、プロダクトバックログアイテム(PBI)を並べたものです。
プロダクトバックログについて、スクラムガイドではこのような説明があります
スクラム5つの価値基準の「勇気、尊敬、公開、確約、集中」の公開、確約、集中にも通じてそうですね。
プロダクトバックログはスクラムチームが行う作業の唯一の情報源
プロダクトバックログはプロダクト成長に資するユーザ価値創出(検討/開発/提供/検証)を行うための拠り所となります。
スクラムは継続的な活動(スプリントゴールに向けてインクリメントを作成して、フィードバックサイクルを回す)を通してプロダクトの成長を実現させます。
また、プロダクトバックログはプロダクトゴールという中長期のゴールに向かうための道筋でもあります。(フィードバックサイクルなどを踏まえて状況に応じた変更も適宜行う)
私たちがサービス提供しているABEJA Insight for Retail は、「AI/データ活用を “身近なもの” “効果的なもの” に変える」というプロダクトゴールを達成するためにAI スーパーバイザー(β) などの開発を行なっています😄
チームはプロダクトゴールに向かうことを確約します
ここで少しだけ、スプリントの全体像も捉えて考えてみます。
開発者はプロダクトバックログアイテムを頼りにしてインクリメントを作成して、スプリントゴール達成に向けて努力することを確約します。
そうして出来上がったインクリメントの透明性を担保して、チームとステークホルダーでプロダクトゴールに向かっているかを検査する工程がスプリントレビューです。
スプリントレビュー参加者のモチベーションはこんな感じになっているとよさそうです。
「今回のスプリントのインクリメントはプロダクトゴールに向かう一歩となっているのだろうか?」
「この先のスプリントではどのようなことを行うとプロダクトゴールに近づけるのだろうか?」
ここでは、スプリントとその活動の成果レビューの場となるスプリントレビューを例に取りましたが、やはり、プロダクトゴールに向かう道筋をチームとステークホルダーが共通理解を形成していることは重要そうです!
本当にそのプロダクトバックログはプロダクトゴールに向かう道を照らしていますか?
ここで改めての問いかけです...
プロダクトゴールへの道筋であるプロダクトバックログはチームで透明性が担保されているでしょうか?(みんなが理解していますか?)
開発者はプロダクトバックログを見てプロダクトゴールに向かうために今必要な(ジャストインタイムな)インクリメントを実装してくれそうでしょうか?
ステークホルダーはその道筋に対して理解/支援をしてくれている(してくれそう)でしょうか?
注意!PBI を全部精緻化すると後で無駄になるかも…
「よし!じゃあプロダクトバックログをきっちり作り切るぞ!」...のその前に、少し意識していただきたいこともあります。
優先度高いものは細かくしておいて、下に行くほど粗くしておくのが、変化に柔軟な状態を維持するコツです。
天気予報と同じで(?)遠い未来より近い未来の方が当たる確率は高い(市場やユーザに価値提供するタイミングがよい)のです。
また、ジャストインタイムに価値創出を継続していけば、フィードバックサイクルもうまく回せる見込みもあるので、必要なタイミングで必要な情報を収集してそれをPBI の精緻化に活かせるはずです!
いつやるかわからないPBI はプロダクトバックログから取り除く勇気を持ってみませんか?
冒頭にある通り、プロダクトバックログは、スクラムチームが⾏う作業の唯⼀の情報源なので、PBI は確実にチームを動かすはずです。 なので、プロダクトゴールに直結しないPBI は、ときにチームとステークホルダーを混乱させてしまうかもしれません。
スクラムのリーン思考と集中といった観点からも、プロダクトゴールとは関係ないけど、チームに取り組んでほしいことは、プロダクトバックログからは取り除く勇気を持ってみてもいいかもしれませんね! (いわゆる「20% ルール」のような仕組みを導入してスプリントに余力を作るなど、PBI 以外の方法をレトロスペクティブなどで話し合ってみるとよさそうですね!)
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