ABEJA Tech Blog

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5年分のNotionのリリースノートを振り返ってみた ~社内運用と個人Webサイト運営での学びを添えて ~

はじめに

皆さん、お久しぶりです。ABEJAで細々とNotion普及活動をしている齋藤です。

こちらは ABEJAアドベントカレンダー2024 の10日目の記事です。 他にも弊社メンバーが面白い記事をどんどん投稿予定なので、是非チェックしてみてください。

このブログで語りたいこと

2024年はChatGPTなどのLLMが多くのソリューションに導入され、多くのユーザーがLLMの恩恵を享受する1年となりました。 例に漏れず、NotionからもLLMによるQ&A機能や、ドキュメントの自動生成機能がリリースされました。 そこで、今回は今まで私が書いたNotionの記事を横目に、利用者視点でNotion自体の成長と変遷を振り返っていこうと思います。

P.S.
特に意図はありませんが、各年の冒頭にその年のリリースのイメージ画像を、各種画像生成AI(無料枠で使えるものだけを利用)を使って生成してみています。

目次

2020年

2020年のNotionのリリースは、「興味がそそられるツールだなぁ」と思えるようなアップデートがとても多い1年でした。

OpenAI社が運用するDALL·E 3による『「Notionっておもしろそうだなぁ」というデフォルメされた猫の画像』の生成結果の吹き出し内のセリフを修正した画像

注目リリースノート

2020年のリリースまとめ

2020年のリリースでは、システムの根本的な改修や汎用的な利便性の向上や他のツールからのNotionへの切り替えに関するノウハウの提供などがあり、様々な顧客層を取り込むためのNotion側の動きを強く感じました。

また、この頃から日本でも一部クラスターから認知され始め、DB ✕ Markdown的ドキュメントツール という特異性から、趣味で使ってみる人(かく言う私もその一人ですが…)が徐々に増えてきたイメージがあります。

2021年

2021年のNotionは個人でも法人でも運用することを念頭にしたアップデートが主だったため、「運用」が個人的なキーワードかと感じました。

Adobe Fireflyにて、『デフォルメされた猫のキャラクターが「Notion」というクラウドドキュメントツールを見ながら、「これで運用できる!」と嬉しそうにしているアニメチックな画像』として生成された画像にセリフの吹き出しを足した画像

注目リリースノート

2021年のリリースまとめ

この年も主に新規ユーザー獲得の動きが多く、基本的な機能の追加や、正式な日本語対応などがされた1年でした。 特出すべきはNotion APIのβ版のリリースと、公開ホームページ設定の2つです。

Notionはデータベース*1という構造化されたデータを蓄積・可視化する機能を併せ持っています。 今回提供されたNotion APIは、このデータベースにもアクセスすることができるため、データの蓄積といった意味でも、活用の幅を広めるという意味でもかなり強力なツールとなっています。

公開ホームページの設定の機能に関して、もともと作成したNotionのページを公開する機能はありましたが、2021年9月のリリースでは、公開しているウェブページに任意のサブドメインを指定できたり、そのページのアクセス権限などを設定できるようになるなど本格的なWebサイトとしての運用を始められる機能がリリースされました。

社内運用と個人Webサイトへの影響

この年の年末、弊社(ABEJA)でも利用するドキュメントツールをDocbaseからNotionへ移行しました。
DocbaseからNotionへの移行に関する汗と涙と後悔と惜別は、Advent Calendar2021の記事として執筆しておりますので、こちらをご覧ください。
qiita.com

また、この年に個人的にNotionでプロセカNotionという音ゲーの情報収集ツールの作成を開始しました。*2

2022年

2022年は、とにかく運用をしていく中で、「あったらいいな」が次々とリリースされる1年でした。 中でもNotion APIとDBのAutomationは、Notionというドキュメントツールの利便性を1段階上に上げたと思います。

Ainova AIにて「萌え絵」を指定して『Notion の アップデート に とても喜ぶ デフォルメされた 白猫 が ノートパソコンの前で 嬉しそうに 「かゆいところに手が届いて嬉しい」 と言っている』として生成された画像の吹き出し内のセリフを修正した画像

注目リリースノート

2022年のリリースまとめ

  • GitHubのIssueやJira、Asanaのチケットを読み込むことによって、Notion上でデータベースとして各種タスクを埋め込み機能が追加
  • テンプレートを使って特定のドキュメントを自動で繰り返し作成できるようなAutomationの機能が充実

といった「〇〇な機能があれば楽だな〜」と思えるようなアップデートがされた年でした。

社内運用と個人Webサイトへの影響

この年は

  1. 弊社(ABEJA)でのドキュメントツールとしての運用がこなれてきて、メンバーも色々な使い方をし始めたり、いろいろな要望が出てくる
  2. 個人的に作成していた「プロセカNotion」を元日に公開し運用開始

といったタイミングで、いろいろな新機能に触れる機会が本当に多かった年です。
中でも特出してNotion APIのリリースは非常にインパクトが有りました。

プロセカNotionの運用1年目は、とにかくデータの投入に四苦八苦していましたが、8月のリリースでDBのテンプレート機能が実装され、急激に運用が楽になりました。
またデータの計算に関しては、Advent Calendar2022として執筆しておりますので、ご興味のある方は下記リンクをご覧ください。 tech-blog.abeja.asia

この記事のとおり、NotionAPIの公開によってGoogle Spreadsheetとの連携が可能になり、ドキュメントツールの公開の割に多くのグラフを埋め込むことができました。

2023年

この年はやはり「LLMってすげぇ〜。Notionと相性バッチリじゃん。」と思える1年であり、Notionがドキュメントツールとしてもさらに興味深い進化を遂げた1年だと感じました。

Bing: Image Creatorにて、『可愛くアニメ調にデフォルメされた黒猫が、すごくワクワクしている顔で「NotionとLLMの相性、サイコー」と言っている』として生成された4枚の画像(Powered by DALL·E 3)

注目リリースノート

2023年のリリースまとめ

2023年の目玉アップデートはやはり、LLM*3によるQ&A機能やドキュメント生成機能のリリースです。
そもそも2023年はLLMブームと言える年で、様々なツールでLLMを搭載した機能がリリースされるようになったり、様々な企業が自前でLLMを作るような動きが多かった年でもあります。
NotionはそんなLLMブームの中で、ドキュメントに対する検索、校正、翻訳、要約、等など...。と様々な部分で非常にシナジーが強く、使い勝手がワンランクもツーランクもアップしたイメージがあります。*4

また、Notion AIの影に隠れてしまっていますが、この年はページのWiki化や、Automationの本格追加がされてもいます。 Wiki化は、単純に今あるページの公開期限を設定できたり、ワークスペース内全体検索とは別に、Wiki設定した範囲内での閉じた形での検索が可能*5になったり、とても便利な機能です。

Automationに関しては、Notion上でかなりできることが増えており、それに関する記事を昨年のAdvent Calendar2023として執筆しておりますので、こちらもご興味のある方は下記リンクをご覧ください。

tech-blog.abeja.asia

社内運用と個人Webサイトへの影響

プロセカNotionの運用2年目では、Automationを導入し、DB間のリレーションを自動で繋げるようにしたことが大きな変更となりました。 これにより、新規情報の追加とそれに係る他のDBの連携作業が自動化されたため、データ投入作業が非常に容易になりました。

また調査という点で、

  1. 既存のページをWiki化した場合の影響調査
  2. 外部ツールの埋め込みによる機能拡張(アクセスユーザーアカウントや、チャット機能など)

など、表には出さないもののNotionのアップデートに対して検証を進めるような1年となりました。

2024年

さまざまな面白い、けれどとても有用なアップデートがされ続けていて、今後の進化に更に期待の高まる1年でした。

Mojo AIにて、『Illustration of a cute white cat who is very excited about Notion's future evolution and says, “I'm looking forward to Notion's updates".*6』として生成された画像の吹き出し内のセリフを修正した画像

注目リリースノート

2024年のリリースまとめ

今年はNotionは、不思議なリリースと待ちに待ったリリースがあった1年でした。

不思議なリリース代表としてピックアップするのはNotionカレンダーです。
リリース当初から使い続けていますが、Notionカレンダーは下記のような機能を有しています。

  • Google連携をすると普通にGoogleカレンダーの機能利用可能
  • Notionのデータベースのカレンダービューも取り込み可能

このことから、例えば、「GoogleカレンダーにNotionのデータベースで作ったタスクを一緒に管理する」といった1画面で予定とタスクとその進捗がわかるようなとても使い勝手が良い新機能(?)*7でした。

また、未だリリースとはなっていませんが、Notionメールなるとても気になるものもリリース予定だとか…

一方、待ちに待ったリリースとしては、Notionを弊社で導入した当初から話題に上がっていた、「NotionDB内の数値等のデータをグラフで可視化したい。」という要望に対して、チャート機能が実装されました。
こちらのチャート機能は、未だグラフの種類はあまり多くありませんが、基本的なものは一通り抑えられていると思います!!

他にも、リリース自体は少なかったものの、下記のような強力なアップデートがされた1年でした。

  • Notion AIがGPT−4対応し、Slackと連携するとSlackにある情報からも回答を返してくれる連携機能が追加
  • 画像をアップロードするとNotion上でトリミングができる機能が追加

社内運用と個人Webサイトへの影響

プロセカNotionの運用3年目の今年はアップデートの回数こそ少なかったものの、プロセカNotionをブラッシュアップする上で有益な変更が多かったイメージがあります。

2024年にしれっとアップデートされていたものとして、Google Analyticsとの連携機能があります。 このGoogle Analyticsのアクセス情報などをLooker Studio*8に読み込ませることにより、可視化することが可能です。

Looker Studioは実はNotionとかなり相性が良く、様々なデータを統合したうえでの可視化が可能なので、下記画像のようにGoogle Analyticsのアクセス情報やその他のデータソースを可視化したうえでNotion上に埋め込むことが可能です。

Notion × GA4 × Looker Studioのシナジー

10月のリリースでは、チャート実装、URLのパーソナライズ、レイアウト機能という大きなリリースがあったので、現在、それらをどのように活用するかを検討しながら各種更新を進めています。

終わりに

今回の記事を執筆するにあたって、かなり淡々とリリースノートを振り返ってみましたが、「個人的にプロセカNotionを今後運用していく立場としても、社内ドキュメントツールとして盛り上げる立場としても、Notionの今後のアップデートはすごく楽しみだ」と改めて強く感じました。
すでに興味の尽きないNotionメールなど、楽しそうなリリースが待っているので、今後もこれらを積極的にキャッチアップし、どんどん活用して使い勝手などをこのようなブログの形式でアウトプットしていきたいと思います。

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トランスフォーメーション領域:データサイエンティスト(シニアクラス) | 株式会社ABEJA

*1:データベースのように構造化されたデータの形式で蓄積することで、膨大なデータになっても検索性や、データの加工などが容易になります

*2:プロセカNotionの詳細はこちら

*3:ChatGPTなどが有名な、AI学習に於ける大規模言語モデル

*4:Notion AIが社内Notionで使えるようになったことを社内メンバーにデモンストレートしたら、その日からすぐに利用上限が来てしまって使えなくなったのは、今でもいい思い出です

*5:既存のワークスーペース内のドキュメントのままだと、ワークスペース内のすべてのページやデータベースに対する検索しかできず、膨大すぎる情報から検索せざるを得ないという問題がありました

*6:日本語訳: Notionの今後の進化にとてもワクワクし、「Notionのアップデート楽しみだなぁ」と言っているかわいい白猫のイラスト

*7:アプリとして提供しているので、新ツールが正しいかもしれませんが...

*8:Looker Studioとは、Google Cloudが提供する完全クラウドベースの無料BIツールで、リアルタイムで簡単に取り込んだを一元化・可視化が可能。取り込めるデータの種類も多く、Google Analyticsだけでなく、Google Spreadsheetのデータも取り込み可能