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心理的安全性ってどう測る?どう高める? システム開発部での取り組み

こんにちは!システム開発部でエンジニアをやっている春名です。

最近のテックブログはロボット関連が多いですが、 この記事では私がABEJAに入社した2023年から取り組んでいる「心理的安全性」に関する取り組みの内容をご紹介します。

心理的安全性といえば、Googleが提唱したチームパフォーマンス向上の要素として有名で、「チームの中で誰もが安心して発言できる状態」を指します(参考:Googleの心理的安全性ワークブック)。

この記事では、そうした一般的な概念を踏まえたうえで、どのように心理的安全性を捉え高めようとしているかをまとめています。

システム開発部として目指している目標は「誰もが積極的に発言して率直な意見が言い合える、心理的に不安がない組織にする」です。 その実現に向けて、どんな課題を感じて取り組みを始め、どんな施策を行ってきたかをご紹介します。

目次

心理的安全性とは

冒頭での述べたように、組織の中でみんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化のことで、 誰もが率直に発言したり懸念やアイデアを話すことによる対人リスクを安心して取れる環境のことを意味します。

そのため、個人の性格による問題であったり、特定個人間の関係に使われるものではなく、組織全体の雰囲気や考え方に対するものになります。

気兼ねなく率直に発言できることが重要になってくるので、「間違っているけど、指摘すると気分を害するかも?」といったような理由で何も言わない(言えない)のは違います。 Google検索に「心理的安全性」と入れると予測変換に「心理的安全性 ぬるま湯」というのが出てくるぐらい、よく言われていることですね。

だからといって、もちろんなんでも言っていいわけではありません。 ベースとして、建設的であること、特定個人に対する(個人的な)指摘ではないこと、そのことを言う側も言われる側も理解している組織でないと、心理的に安全な環境は生まれません。

感じていた課題

私が入社する前から挙げられていた課題として、「MTGでの発言数に差があり、シニアの発言が多い傾向にある」というものがありました。 その要因の1つの仮説が「心理的安全性が低い」というものでした。

目標に掲げた誰でも積極的に率直な発言できる組織は、心理的安全性が低い状態では実現できません。 この課題の解消に取り組んでいる内容が、今回ご紹介している内容になります。

取り組み1:心理的安全性の評価(可視化)

まずはこの仮説が正しいのかどうか、心理的安全性が本当に低いのかどうかを知る必要がありました。

単刀直入に「心理的安全性、低いですか?」と聞いて、「はい、低いです。xxxの時に...」といったように正直に低いと言える、どういった時にそう感じたかなどのエピソードが返ってくるような組織であれば、心理的安全性はある程度高いので、もう読み進める必要はありません。

たとえ他のメンバーの耳には入らない状況で聞いたとしても、本当に低い場合は低いとは返ってきません。 (仮に返ってきたとしても他のメンバーがいる場所では話せない、という状況は心理的に安全とは言えませんが…)

また、仮に低かった場合には改善していく必要があるため、どのような部分がどれぐらい低いのか、といった定量的な指標をもとに心理的安全性を評価(可視化)する必要がありました。

評価するための指標検討

どのように評価することができるかを心理的安全性について学びつつ検討していたところ、エイミー・エドモンドソン教授が言及している「4つの不安」というものがあることを知りました。 4つの不安には以下のようなものがあり、これらが心理的安全性を大きく阻害する、心理的安全性が低い場合に起こる不安であることが言われています。

  1. 無知だと思われる不安
  2. 無能だと思われる不安
  3. 邪魔だと思われる不安
  4. ネガティブだと思われる不安

それぞれの不安の例としては以下のようなものになります。

無知だと思われる不安

「こんなこともわからないなんて…」と思われることが不安で、素直にわからないと言えなかったり、必要な質問ができなくなる。

無能だと思われる不安

ミスをした際に「こんな些細なミスをするのか」と思われることが不安で、問題が発生した際の報告を隠したり、失敗を恐れて消極的になってしまう。

邪魔だと思われる不安

会議の場で自分が意見することにより議論を長引かせてしまうのではないかと不安になり、発言しなくなってしまう。

ネガティブだと思われる不安

反対意見に対して「あの人はいつも否定する」「消極的だ」と思われないか不安になり、本来の自分が出せなくなり、自分の意見を隠してしまう。

評価のためのアンケート作成・実施

先に述べた4つの不安をどれぐらい感じているかというのを定量的に測ることができれば、組織の心理的安全性が可視化できると考えました。 より正確に計測できるようにするため、4つの不安をベースに主体・客体・肯定・否定の4パターンを掛け合わせて、計24個の質問を作成しました。

質問の例として以下のようなものがあります。

  • メンバーからの質問に対応することに煩わしさを感じる
  • メンバーとコミュニケーションを取る際、間違っているという指摘を素直に受け入れる空気感がある
  • メンバーに対して否定的な評価ができない
  • 自分のミスをメンバーに報告することにためらいを感じる

これらの質問に対して、そう思うか思わないかを1〜6段階で回答してもらうようなアンケートを作成しました。 中立となる選択肢を持たせない、6が全て良い回答になるわけではない形にすることで、設問を読んだ上で適切に回答してもらえるようにしています。

心理的安全性アンケート質問例

最終的には選択肢の1〜6を、1が不安を強く感じている(最も悪い)、6が不安を全く感じていない(最も良い)というスコアに換算し、組織内の平均スコアが3.5を超えていれば心理的安全性としては一定確保できていると判断する仕組みにしています。

このアンケートには匿名で回答してもらう形で実施しました。 匿名の状況でないと本音が言えないという状況は心理的安全性が本当に高いとは言えないのですが、より率直な意見が集まりやすいよう匿名にしました。

第1回アンケートの結果

初めてのアンケートを実施した時の結果がこちらです。

第1回 アンケート結果

不安を感じている水準の3.5未満になっている、また最低スコアも1(強く不安を感じている)となっている項目があることが明らかになりました。

取り組み2:心理的安全性に関する理解を深める

アンケートの結果から少なからず不安を感じているメンバーが存在していることがわかったため、次はその不安を取り除くための施策を検討しました。 一発で解決できるような素晴らしいソリューションがあるわけではないので、かなり悩みました。

教育資料の作成

まずは心理的安全性に対する理解と意識が大事だと考え、教育として使える資料の作成を行いました。

資料には大きく以下のような内容を記載しています。

  1. 心理的安全性とは何か
  2. 心理的安全性の重要性(低い/高いとどうなるか)
  3. 心理的安全性を悪化させない・高めるためにできること

特に3に関しては、

  • 「なぜ」という接頭語は攻撃的に聞こえることがあるので避ける
  • 自分をさらけ出すことで周りの心理的安全性を高めることができる
  • 良い質問をする、質問がなかったとしても真剣に聞いて反応や感想を返す

といったような、普段の業務をしながら行うことができる小さな心がけレベルの内容を記載しています。

この資料はオンボーディングのコンテンツとして組み込んでいて、

  • この組織が心理的安全性を意識して大事にしていること
  • ありのままの自分を出しても大丈夫であること

を、新しくジョインしたメンバーにも伝えることができているかなと思います。

理解度テストの実施

教育資料の効果を測るために理解度テストも実施しました。

心理的安全性理解度テスト_1

心理的安全性理解度テスト_2

上記のような設問に回答してもらい、結果発表と合わせて全員で議論を行うことで、より一層理解が深まったかなと思います。

改善の取り組み & モニタリングを続けた結果

現在も四半期に1回をベースにアンケートを実施して心理的安全性をモニタリングしつつ、意識付けを行う取り組みを続けています。 その結果、4つの不安をベースに見た時のスコアとしては平均4を超えるスコアが維持できています。

アンケート結果推移

より細かい項目別に見ると、最低スコアが1であったり平均がぎりぎり3.5を超えている項目が存在するため、まだ改善の余地はあります。

が、ある一定の心理的安全性は確保できているのかなと感じています。

第6回_アンケート結果

1回目と比べると、平均値・中央値で見た時のスコアとしてはかなり改善されたかなと思います。

まとめ

取り組みを開始してから何名か新しいメンバーにジョインいただいていますが、それでも変わらずの水準が維持できているため、組織としての文化醸成やオンボーディングに用意した資料などの効果が出ているのかなと感じています。 また、当初の課題であったMTGでの発言数においても、新しくジョインしたメンバーなども積極的に発言してくれることが増えたように感じます。

心理的安全性はナマモノなので、一度達成したらそれで終わりというわけにはいきません。 引き続きモニタリングしつつ、より心理的安全性の高い組織を目指していければと思います。

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